Team Fortress Classic(以下TFC)とは、QuakeのモジュールであるTeam Fortress(以下TF)をHalf Lifeに移植したマルチプレイ専用のフリーウェアadd-onである。

移植作業はHalf Life本体を開発した本家Valveが行っており、自社エンジンを知り尽くした上での制作になるので、完成度などのクォリティー面についてはまったく問題が無いと言える。このValveにはオリジナルのTFを開発したRobin WalkerとJohn Cookの両氏も参加しているので、TFシリーズを制作する上で最強の布陣であると言えるだろう。

名前から推測できる通り、TFからTFCへ移植する際にシステム面での変更はほとんど行われておらず、オリジナルTF本来の面白さを損わない様、Half Lifeという器でTFの世界観を忠実に再現した作品だと言えよう。

このTFは世界中に熱心なファンが数多く存在し、1つのFTPサイトから50万人以上の人々がダウンロードした事実を挙げるだけで、その人気の高さを窺い知る事ができるだろう。今やTFは1つのゲームジャンルにまで発展して、オリジナルを改良して作られたMega TFや、ユーザー制作のマップが300以上リリースされるなど、周辺のファンによるゲームの拡張が日々行われており、こうしている今もゲームは進化し続けているのだ。もちろんこれはQuakeのTFの話だが、根強い人気というものは衰退すると言う事を知らないので、舞台がHalf Lifeに移行しても確実に受け継がれていく事になるだろう。

肝心のゲーム内容を簡潔に言うと、チーム毎に別れて敵陣に存在する旗を自陣に持ちかえるのが目的のCapture The Frag(以下CTF)を主体としており、これにユニークな特徴を持った9つのクラスを任意に選択するというシステムを加えたものである。このCTF以外にも、陣取りを主題にしたもの、要人の暗殺を遂行する側と阻止する側に別れて争うもの、CTFの亜流とも言えるサッカーを題材としたもの、毒ガスを開放する事で陣営を問わず皆殺しにするのが目的のものなど、1つのルールに束縛されないマップが複数用意されているので、飽きる事無く遊べる仕組みになっている。

特に注目して欲しいのがTFの人気を決定付けたクラスシステムで、今まではプレイヤー側が意識的に行っていた3Dシューティングでのロールプレイを、システム側で明確に具現化した事だ。これにより、各クラスの能力に最も適した戦い方を演じる事で、ゲームプレイは奥行きと広がりを増す事になり、チーム戦ならではの戦略性の高いプレイを今まで以上に楽しめるようになったのだ。

役割分担によるチーム戦ならではの連帯感を味わうには、現段階においてTFCをプレイするのが最良であり、また、これ以外に選択肢が無いと言えるだろう。

現在ValveではTeam Fortress 2: Brotherhood of Armsの開発が進められており、今年の後半に製品版としてリリースされる予定だ。こちらもマルチプレイ専用で、Quake IIとHalf-Lifeのエンジンが使用されるそうだ。いわゆるスタンドアローンと呼ばれる単独のゲームとして動作する為、遊ぶのに際してHalf Lifeを必要としないと言う事も付け加えておこう。

Team Fortress - Quake

Team Fortress Classic - Half Life

Team Fotressの簡略した歴史

約2年の開発期間中、通算で40回以上のバージョンアップがなされている。

Team Fortress Software

オーストラリア人の Robin "Bro" Walker, John "Jojie" Cook, Ian "Scuba" Caughley が設立メンバーで、Team Fortressをこの世に生みだしたチームである（RobinはTFのリードデザイナーであると同時に、3つのオーストラリアDM大会で優勝した経歴を持つ凄腕のゲーマーでもある）。

3人はメルボルンのRMIT大学時代に知り合い、LANパーティーで自分達が通常のCTF以外を遊ぶ為に制作を開始したのがTFの始まりで、制作後にNetで公開しても更新するつもりはなかったそうだ。遊んだプレイヤーからmailを貰ったのを切っ掛けに更新を開始し、バージョンアップを繰り返す毎に人気を博す事になり、1997年の暮れにはTeam Fortress Software社を設立する。しかし、これ以上資金提供無しには開発を続ける事が不可能との見解を示し、解決の糸口としてQuake2用の有料add onとしてTeam Fortress2を開発すると非公式に公表。idと交渉をしていた最中、ValveからHalf Life用にTF2を制作しないかと連絡を受け、当時まだ開発中であったHalf LifeをValve社まで見に行ったところ、ゲームに衝撃を受けて快諾する事になる。3ヶ月ほど一緒に働いた後、合意のもとTF SoftwareはValveに吸収合併される。中心人物であるRobin WalkerとJohn Cookの2人は現在ValveにてTF2を制作中。

Valve Software

マイクロソフトに長年勤めていたGabe NewellとMike Harringtonの2人が1996年に設立したゲーム開発会社。アメリカのカークランドとワシントンに拠点を置く。今までに制作したゲームはHalf Lifeのみという若い会社でもある。現在、TF2を開発中。